エビデンスベイスドアプローチの歴史

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こんにちは!いつの間にかハロウィーンが終わっていましたね。大学院で臨床心理学を専攻しているひぐらしです!

 

今回は前回に引き続き、エビデンスベイスドアプローチ(論理実証主義)について解説していきたいと思います。玄人じみた話ですが、豆知識として読んでいただければ幸いです。

 

前回の記事では、〇〇セラピーと比較して、臨床心理学の科学的な姿勢を紹介しました。

 

では、「なぜ、このような科学的な考え方が出てきたのか?」という疑問が出てきます。それに答えるのが今回のお話です!

 

第一回:臨床心理学の2本柱ーエビデンスベイスドアプローチ
第二回:エビデンスベイスドアプローチの歴史→今回の記事!!
第三回:臨床心理学の2本柱ーナラティブアプローチ
第四回:エビデンスベイスドアプローチとナラティブアプローチ

 

エビデンスベイスド(論理実証主義)の昔

知の巨人「アイゼンク」の問題提起

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心理学の偉大な巨人の一人であるアイゼンク。

「心理療法は逆効果である」

彼の出した結論は大きな影響を持ちました。彼は、心理療法(心に対する治療的働きかけ)による効果よりも、何もせずに過ごしている方(自然治癒と言います)のほうが、健康になれると主張しました。

心理療法というものは、様々な流派のようなものに基づいており、「うちの流派は効果があるんだ」「うちの流派が最強だ」と主張する人や、「アイゼンクの計算の仕方(統計)が悪いんだ!」と主張する人で混乱しました。

利用する人にとっては自分が受ける治療に効果があるのかというのは大問題です。これが現在、臨床心理学で大切にされているエビデンスベイスド(根拠に基づく)の考え方の発端となります。

心理的な介入(心理療法)は果たして効果があるのか

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この論争に終止符を打ったのは、メタ分析という画期的な統計手法の登場でした。

メタ分析は、スミス&グラスさんによって開発された、心理療法の効果をとりまとめる計算方法です。

論文として発表されている数値というのは一般的に、複数の実践結果をまとめて効果を報告したものです。メタという語は「一段上から」という意味なので、論文として発表されたデータをさらにまとめて、効果を報告するというのがメタ分析の方向性です。

細かい計算方法は省きますが、このメタ分析によって

心理療法には効果がある

ということが実証され、エビデンスベイスドの考え方は次のステップへ進むことになります。

どの症状にどの心理療法が効果あるのか

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どの症状にどの心理療法が効果あるのか

次の疑問はこれです。

これは前回の記事:臨床心理学の2本柱ーエビデンスベスドアプローチについてでも紹介した、特定の症状を持ったクライアントの方に最適な治療法を提供するという考え方と密接につながっています。

臨床心理士の仕組みが整備されたアメリカなどでは、最適な治療法をわかっていながら、理由もなく他の心理療法を行ってしまうのはご法度とされています。それくらい、大切なことなのです。

症状別に、どの心理療法が効果的か調べる論文が集まってくると、マニュアルのようなものが出来上がってきます。それがさらに次の話です。

エビデンスベイスド(論理実証主義)の今

経験的に支持された介入法の登場

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こなれない日本語訳のようになっていますが、どの症状の人にどの心理療法が効果的か、それをまとめたマニュアルが登場します。それが、経験的に支持された介入法(Empirically Supported Therapies)です。

略して、ESTと呼ばれるので以下ESTと書きます。

このESTは米国心理学会という権威ある組織が公表しているのですが、とても厳密です。

ESTはリスト形式でまとめられていて、十分に確立された介入法おそらく効果のある介入法の二つに分かれています。二つを分ける基準は、簡単に言うと、ちゃんとした証拠がどれくらいあるのか、ということです。

例えば、ある殺人事件が起きたときに、被害者の自宅から知人男性の指紋が採取されただけで、犯人だと断定することはできません。言えても「おそらく犯人だろう」としか言えません。指紋に加えて、その知人男性の自宅から血痕つきの包丁が発見されたとき、「間違いなく犯人だ」と言えるようになります。

このように、ESTのリストはこの症状には、この心理療法が効果的であるという、決定的な証拠がどれくらいあるのかということが、判断基準となります。

ぱっと聞いて「これは信頼できる!」と目をキラキラさせてしまうかもしれないですが、日のある場所には影ができる。問題点もあるのです。

エビデンスベイスド(論理実証主義)への批判

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批判は何点かありますが、込み入った話もあるので、入り口の部分だけ説明します。二つにまとました。

 

それ本当に現場で使えるの?

スポーツをしている人であれば共感していただけるのではないでしょうか。

練習でできていても、本番ではできない。

心理療法も一緒です。実験的な条件で効果が明らかになっても、現実のクライアントの人に実施して効果が出る保証はありません(注)。

現実の現場のデータから、効果を検証するような態度も必要となってきます。

これを生態学的妥当性の問題と言います。実験的な条件(例えば、合併症が普通なのに、ある単一の症状を持っている人だけを対象とする)などが、どれだけ現実の状況に一般化できるのかを問題にすることです。さらに蛇足なんですが、この例に挙げた批判に対して、それでも一般化できると実証した研究はあります。

効果が出る仕組みは?

「理由はよくわかんないけど、効果はあるんです」そう言われると、しっくりくるようなこないような感じですね。効果が出ても、どのようなプロセスで効果が出るのか、理論的な背景が必要です。

以上が、エビデンスベイスドの基本的な歴史です。

批判もありますが、サービスを受けるクライアントにとって何がベストかを考えると、エビデンスベイスドは捨てることはできず、そのデメリットも含めて、より良いサービスが提供出来るのようにならなくてはなりません。

第一回:臨床心理学の2本柱ーエビデンスベイスドアプローチ
第二回:エビデンスベイスドアプローチの歴史
第三回:臨床心理学の2本柱ーナラティブアプローチ→次回の記事!!
第四回:エビデンスベイスドアプローチとナラティブアプローチ

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