臨床心理学の2本柱ーナラティブアプローチ

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こんにちは!すっかり冬になりましたね。大学院で臨床心理学を専攻しているひぐらしです。

 

臨床心理学の2本柱のうち、前回まではエビデンスベイスドアプローチを解説してきました。

さて今回は、2本柱のもう一つナラティブアプローチという大事な考え方を解説したいと思います。

 

第一回:臨床心理学の2本柱ーエビデンスベイスドアプローチ
第二回:エビデンスベイスドアプローチの歴史
第三回:臨床心理学の2本柱ーナラティブアプローチ→今回の記事!!
第四回:エビデンスベイスドアプローチとナラティブアプローチ

 

どの人が言っていることも真実なんです

芥川龍之介作『藪の中』

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まずは導入ということで具体例から入りましょう。『藪の中』という小説をご存知ですか?すごいざっくり言えば、藪の中で殺人事件が起き、その目撃者や被疑者の証言がばらばらに食い違って何が真実なのかわからなくなっていくお話です。

森見登美彦さんの小説や、世にも奇妙な話などのドラマでも、アレンジされている古典的な名作です。

あなたも現実場面で、『藪の中』のような体験をしたことがあるのではないでしょうか?

  • 彼氏(彼女)と喧嘩するとそれぞれの意見が食い違う
  • 自分が意図した意味で、行動が理解されていない

 

などです。それでは、こんがらがったこうした状況に臨床心理士はどのように対応したらいいのでしょうか?その際の基本的な方向性がナラティブアプローチです。

客観的な真実とその人にとっての真実

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ナラティブアプローチとは、厳密な定義が難しいのですが、その人が出来事を捉えるその捉え方を大切にする姿勢と言えるのではないかと思います。

その人にとっての物語と対比されるのが、客観的な真実です。立場によって様々だと思うのですが、ナラティブアプローチでは、客観的な真実というのはあまり大事ではありません。

ナラティブアプローチでは、現実はそれぞれの人にとっての真実によって紡がれたものなのです。客観的な真実を否定する傾向のあるナラティブアプローチですが、そのことに関しては次回の記事で解説したいと思います。

人はみんなストーリーテラー

あなたも物語を紡いでいる

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普段生活していると、自分が自分の物語を生きている感覚というのはほとんどないかもしれません。しかし、たとえ同じ出来事でも、人によってその捉え方は違うのです。人はそれぞれ自分の物語の中で物事を捉えているのです。

例を出しましょう。

朝起きる。朝食のパンにカビが生えている。家を出ようとすると鍵がない。時間ギリギリになって待ち合わせ場所に着くと急に土砂降り。待ち合わせていた相手と街を歩いていると宝くじを見つけました。その相手は宝くじを買おうと誘ってきました。

さて、もしあなたに以上のような状況が起きた時どのように捉えるでしょうか。起きていることは一緒でもおそらく人それぞれで捉え方が違うのではないでしょうか?

例えば、「今日は悪いことばかり起きる日だ。宝くじなんて買っても当たらないだろう」というふうに、起きた出来事を否定的に捉える人や、「パンにカビが生えたのも、鍵見つからないのも普段から自分がずぼらなだけだ。雨はたまたまだろう。」という風に、物事を結びつけずに捉える人もいるのではないでしょうか?

なにを言いたいかというと、起きていることは客観的に見て一緒ですが、人それぞれで捉え方が違う、つまり、あなたはあなたの物語を生きているということです。

ナラティブアプローチ(物語性)

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すこし難しい話ですが、ナラティブアプローチは社会構成主義という考え方に基づいています。

 

社会構成主義とは、端的に言えば、現実の世界はそれぞれの人の主観によって成り立っているとする考え方です。まさに、今上で解説してきたことです。

 

 

ナラティブアプローチの考え方に立つと、

 

物語を語り直すこと

 

これに焦点が当てられます。実は、漫画や映画で描かれている話の多くはこの観点で説明することができるのです。『聲の形』や『Orange』とかはそうですね。

 

以上ナラティブアプローチ(社会構成主義)について説明してきました!次回は、臨床心理学を支える二つの考え方がどのように関係しているのか解説していきたいと思います!!

 

シリーズ一覧

臨床心理学の2本柱ーエビデンス・ベイスドアプローチ(EBA)について

2016.11.01

エビデンスベイスドアプローチの歴史

2016.11.02

エビデンスベイスド(論理実証主義)とナラティブ(社会構成主義)

2016.11.05
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