女子大生歌手刺傷事件を考えるー加害者のいるPTSD

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こんにちは。大学で臨床心理学を専攻しているひぐらしです。

 

昨年5月、東京都小金井市でシンガソングライターとして活躍していた冨田真由さんが、岩崎友宏容疑者によって20箇所以上刺傷されるという事件が起きました。

 

昨日、2月23日に裁判員裁判が行われました。被害者である冨田真由さんも体と心の苦しみに耐えながら、裁判に参加しました。報道によると、PTSDを患っているとのことです。

警察のあり方や法律のあり方を問う事件。しかし、テレビなどでは冨田さんの心のケアに関して焦点が当てられることはありませんでした。

 

この記事では、冨田さんの心のケア、特に

 

加害者のいるPTSD

 

にスポットライトを当てて考えます。

冨田さんは裁判に参加してよかったのか?

冨田さんの発言や様子を見る限り

 

よかったとは言えない

 

と思っています。

 

冨田さんが今苦しんでいるPTSDとは、とても大きなストレスにさらされた後に生じる、フラッシュバックや意識障害に苦しむ精神障害のことです。

 

PTSDの最終的な治療目標は

 

物語を紡ぎ直すこと

 

です。

 

冨田さんはシンガーソングライターとしての人生を歩んでいました。しかし、今回の事件により、その夢に大きな障害が生じてしまったと言えます。

 

今回の裁判での、冨田さんのすすり泣きや発言内容はその苦しさを物語っています。

その様子からは、冨田さんが苦しみに引きずり込まれ、それを怒りで覆い隠そうとしている印象を持ちました。

 

この苦しみがPTSDの根本にあります。しかし、そのままではその苦しみに縛られたままの人生になってしまいます。もともと冨田さんの持っていた夢が難しくなっても、人生の中に「落とし所」を見つけないといけません。

そうでなければ冨田さんのこれからの人生を本当に「犯人」に奪われてしまうことになります。冨田さんが今生きているのは「事件の人生」です。

 

 

それは本当にもったいないことです。もう一度自分の人生を始めてほしいと願っています。

 

 

今回冨田さんが裁判に参加したことが、「新しい物語」を紡ぐ助けになったか。

 

これにはYESと言えないです。

本人の希望ではありましたが、苦しみを増やしてしまったように感じました。

 

被害者をケアすることの難しさ

少し視野を広げて「被害者」の心のケアについて説明します。

PTSDには大きく分けると

 

  • 自然災害によるPTSD
  • 人の手によるPTSD

 

の二つがあります。

 

このうち、「人の手によるPTSD」の方が問題は複雑です。「人の手によるPTSD」の場合、明確な加害者がいるからです。

 

冨田さんが吐き出していた「今度こそ殺されるかもしれない」という恐怖は、人の手によるPTSDの大きな特徴です。もし、僕もこのような事件を経験したら間違いなく感じる恐怖です。

 

 

ではこの恐怖はどのように取り除くことができるでしょうか?

 

 

ベストアンサーはもしかしたら加害者を「無期懲役」「死刑」にすることかもしれません。

しかし、現行の法律、そしてこれからの法律でもそれは難しいものがあると思います。強姦などの性的暴行でも単一では「無期懲役」「死刑」になりません。

 

そうなると考えるべきは

 

どうやったら再犯を防止できるか

 

という当たり前の議論になるのです。

 

岩崎容疑者にはどんな過去があるのだろうか?

 

冨田さんの発言に印象的なものがありました。

 

岩崎容疑者を育てた両親も許さない

 

というものです。

 

冨田さんの気持ちに寄り添えば、この発言大きく共感できるものがあります。恨みたくなる気持ちも最もだと思います。

 

しかし、客観的に見た時すべての責任を両親に求めるのは難しいです。

 

岩崎容疑者はどうして事件を起こしてしまったのでしょうか?

 

どんな苦しみがあったのでしょうか?

 

なぜ、冨田さんに夢中になったのでしょうか?

 

 

 

 

過去にいじめられた経験があったのでしょうか

 

勤めていた会社で何か辛いことがあったのでしょうか

 

もともと自分の感情を表現するのが難しい人だったのでしょうか

 

SOSを出すことのできる人はいなかったのでしょうか

 

 

残念ながら、このようなことが報道されることも、コメンテーターが拾いあげることもありません。それが、日本のメディアの現状です。

 

しかし、再犯防止にあたり、加害者の苦しみに寄り添うことは大前提で必要なことなのです。

 

「サイコパス」と言って排除するだけでは再び事件は起きます。

 

そして、冨田さんはもう一度狙われる恐怖に苦しむことになるのです。

 

 

加害者をケアすること

 

 

これには反対意見もあると思います。しかし、これ以上被害者も加害者も出さないために必要なことなのです。

 

 

Twitterや2ちゃんねるで加害者を叩く前に考えてほしい、心の問題です。

合わせて、冨田さんのこれからのご活躍を願っています。

 

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