「アスペルガー症候群」という言葉はもう使いませんー自閉症スペクトラムとは

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こんにちは!大学院で臨床心理学を専攻しているひぐらしです!

メンタルヘルスの知識を多くの人に知っていただきたく、記事をコツコツと書いています。

 

さて今回のテーマは『発達障害』。なかでも「自閉症スペクトラム」について説明していきたいと思います。「スペクトラムってなんやねん!」ってところからわかりやすく解説していきます。

 

今となっては、発達障害という言葉が一般的になりました。あなたの隣にも、そうした方がいらっしゃるかもしれません。一度立ち止まって、自閉症について考えてみませんか?

 

自閉症の発見

カナータイプとアスペルガータイプ

まずは自閉症の歴史から振り返ってイメージを膨らませましょう。

「自閉症」という「障害」(障害とは何かについては、正常と異常の境界ー異常心理学からーサイレントマジョリティと「障害」ー静かな境界線ーなどなどを読んでいただけたら嬉しいです)は二人の研究者(医師)によって、同時に報告されました。それが、カナー(Kanner)とアスペルガー(Asperger)です。

 

カナーが報告したのは、「早期幼児自閉症」です。その特徴は、知的な遅れを伴う自閉症であることです。

 

それに対して、アスペルガーが報告したのは、「自閉的精神病質」です。これは、知的な遅れを伴わない自閉症です。

 

この、カナーが報告した症状の方が、典型的で重症の自閉症であることから「カナータイプ」と呼ばれています。

 

それに対して、アスペルガーが報告した症状の方は、非典型的で比較的症状が軽いと言われています。アスペルガー症候群、またはアスペルガー障害という言葉を聞いたことがありますか?アスペルガーが報告した、自閉症が「アスペルガー症候群」と呼ばれるようになったのですね。(後述するように、今はもう正式な診断として使われていないので注意してください)

 

三つ組の障害

自閉症について、「自閉症スペクトラム」という画期的な提案をした人がいます。それがウィング(Wing)です。自閉症にどんな症状があるのかわかりやすいため、ここで紹介したいと思います。

 

自閉症には三つ組の障害があると言われます。(今の診断基準では合併したので二つです)以下の三つですね。

 

社会的交流の障害

人に関心がない傾向があります。「自閉」という言葉の通りです。

 

また、症状が軽い場合、関心があっても関わり方が一方的である傾向があります。小さい子によく見られるのですが、そんなに仲良くないにもかかわらず、いきなりボディタッチをしてきたり、ベタベタしてきたりします。

 

社会的コミュニケーションの障害

言葉によるコミュニケーションが苦手です。また、行間を読んだり、暗黙の了解がわからないことがあります。

 

例えば、先輩の鼻毛が出ている時に、普通だったら気を使って面と向かっては言わないわけです。しかし、自閉症傾向のある人は、気にせず「先輩鼻毛出てます」と正直に言ってしまったりします。(僕はいいところでもあると思うのですが)悪く言えば融通が聞かないということができます。

 

社会的イマジネーションの障害

変化に適応できないことがあります。決まり切ったやり方ができないとパニックになります。独特のこだわりこうどうがあります。

また、一つのことに没頭することがあります。子供の時は、〇〇博士としてクラスの人気者になることもあります。この点はアスペルガー傾向のある人の個性でもあり、強みだと僕は思っています。

 

もうアスペルガーという診断は使いません

Twitterなどのプロフィール欄にも「アスペルガー症候群・障害」ということを書いていらっしゃる方がいらっしゃたり、「あの人アスペだ」という言い方をする方がいらっしゃいます。

 

残念ながら、最新の医学的診断(DSM-5と言います)ではもうアスペルガーという言葉は使われていません。どうしてなくなったのか、その代わりにどのような考え方が一般的になったか解説します。大切なのは、知った上で使うということですね。「アスペルガー」という言葉知ったかで使わないように気をつけたいですね。

 

自閉症スペクトラムという考え方

 

昔の分類(DSM4-TR)では、自閉症は広汎性発達障害というごちゃっとしたくくりの中で扱われていました。

 

それが、診断基準が新しくなり(DSM5)、自閉症スペクトラム症・自閉症スペクトラム障害という分類に整理されました。先ほども述べたのですが、もともとウィング(Wing)さんという人が考えたものが正式採用されたという形ですね。

 

実はこの診断とても画期的なのです。具体的に説明しましょう。

 

そもそもスペクトラムって何?

昔理科の実験で「光のスペクトラム」というものを習った記憶はないですか?光をプリズムで分けると、赤から紫まで様々な色が連続でつながっているのを見ることができます。これが「光のスペクトラム」ですね。

 

スペクトラムとは、「連続体」を意味します。これを自閉症にも持ち込んだわけです。

 

つまり、自閉症の一連の症状を連続性を持ったものとして捉えようという考え方なのです。

 

一番自閉症の症状が濃い(重い)ところには、カナータイプの自閉症があります。そこから、グラーデーションのように、症状が軽くなっていき、いわゆるアスペルガー症候群、一般的な人と繋がっていきます。図にするとわかりやすいですね。

 

 

どこらへんが新しくなったの?

これによって、自閉症の中にある「区切り」がなくなったのです。つまり、アスペルガー症候群という診断がなくなったのです。

そうではなく、自閉症っぽい症状をグラデーションで捉えようとしているのです。連続しているのです。

新しい基準ではその代わり、重症度分類(Level1 〜Level3)を新しく作りました。また、先ほど三つ組とした症状も二つにまとめられ、感覚の過敏さという側面が付け加えられました。

 

ここまで知っているとかなり詳しい人ですね。さらに、このスペクトラムという考え方を使うことでどのようなメリットがあるのか理解できれば、かなりすごいです。

 

さらに専門的な話をいえば、ADHDとの重複診断が可能になったというメリットがあります。これは大学院を受験する方のために…

 

自閉症スペクトラムという概念のメリット

連続性の中で、自閉症を捉えることでどんないいことがあるか。

 

まず一つは、その人そのものを見ることができるということです。

 

今までの診断では、例えば「アスペルガー」という診断がついても、人によって様々だったのです。僕も実際に、アスペルガーという診断を持っている人に接したことがありますが、「全然そんな風に見えないけど?」と言った人から、「なるほど」と言った人まで様々でした。

 

そういった多種多様な症状を「アスペルガー」などのくくりで当てはめてしまってはその人のことを正しく理解できなくなってしまいます。そのために、自閉症スペクトラム症・自閉症スペクトラム障害という大きなくくりで、その傾向のある人をくくって、症状の重さでこれまたざっくり区切っているのです。

 

そうすることで様々なケースに対応できるようになったわけです。

 

 

もう一つ大切なのが、一般的な人→自閉傾向の強い人を連続的に見ることができるようになった点です。

 

どういうことかというと、今この記事を読んでいる人にも、「診断はつかないけど、自閉症の傾向がある人」がいるかもしれません。あなたも、もしかしたら僕もそうかもしれません。

 

自閉症スペクトラムという考え方で、一般的とされる人の中にもそれに似た症状を持っている人がいるというように見ることができるようになったのです。そうすることで、支援の幅は大きく広がりました。

 

あなたの周りにも、コミュニケーションに難しさを感じていたり、一つのことに大きなこだわりを持っている方がいっらしゃるかもしれません。

 

そうした場合に、自閉症スペクトラムの治療や支援として考案されたものが使えるかもしれません。こう考えられるようになったのも、この「スペクトラム」という概念のおかげなのです(そうした人たちが、「自閉症スペクトラム」であるという、レッテルを貼りつけようとしているわけではありません。そもそも診断は支援のために用いられるものなので、安易なレッテル貼りは避けるべきです)。

 

 

当初は、秋葉原を例に、自閉症について書いていたのですが、誤解を招かれないため、変更いたしました。ご指摘いただいた方に感謝です。

 

 

最後にーあなたも、あなたの隣の人も

ここまで読んでいただきありがとうございます。読みづらい箇所もあったかもしれませんが、自閉症スペクトラムについて大雑把なイメージをつかめていただけたのではないでしょうか?

 

あなたの隣にも自閉症傾向を持つ人がいらっしゃるかもしれません。もしくはあなた自身も、診断はつかなくてもその傾向を持っているかもしれません。

 

この記事が自閉症スペクトラムについて考えていくきっかけになれたら嬉しいです。

 

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