自閉症スペクトラムの人から見た世界①ー心の理論編

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こんにちは!大学院で臨床心理学を専攻しているひぐらしです!

この間、自閉症スペクトラムについて、「自閉症」ってどういうものなの?ということをざっくり解説しました。

「アスペルガー症候群」という言葉はもう使いませんー自閉症スペクトラムとは

2017.04.22
今回は全3回のシリーズでさらに詳しく自閉症スペクトラムについて説明していきたいと思っています。

 

自閉症スペクトラムの人たちの世界を理解し、ぜひ歩み寄りの機会にしていただきたいです。

自閉症スペクトラムと心の理論仮説

自閉症スペクトラム心の理論

自閉症スペクトラムの人たちは私たちとは少し違った世界を生きています。それによって、他の人とうまく行かなくなったり、逆に個性として評価されることもあります。

 

心理学の研究では、自閉症スペクトラムの人の世界を理解するために3つの仮説を立てています。どの仮説も、自閉症スペクトラムの人を理解し、歩み寄って行くために必要な考え方になっているので、ぜひ最後までご覧いただきたいです。

 

今回はその中でも「心の理論」仮説を丁寧に説明していきたいと思います。

 

心の理論とは?

心の理論とはそもそもなんなのでしょうか?「理論」とついていますが、正直言ってわかりづらいナンセンスな訳だと思います(僕が本質を理解していないからかもしれませんが…)。

 

心の理論とは、相手の感情を推察したり、他人が自分とは違う考え方を持っていると考える能力のことです。理論と言っていますが、能力だと理解していただいて良いと思います。

 

あんまりイメージつかないですよね。というのも、普段意識せずにこの能力を使っているからです。「この人は今何を考えているんだろう?」「自分が言ったこと伝わっていないかな?」というように考えている時、この心の理論は存分に発揮されています。

 

心の理論というある種の「共感能力」を確認する有名なテストがあります。それが「サリーとアン課題」です。もしかしたら聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、簡単に説明します。

 

サリーとアンの課題

色々と探したのですが、他に良い資料がなかったので、こちらのYouTubeを参考にご覧ください。

 

サリーとアン課題の要点は

 

自分が見ている世界と、Aさんが見ている世界は違う

 

ということをわかっているかどうかを試しているということです。相手の視点に立つことができず、自分の頭の中だけに止まってしまうと、このテストで間違ってしまうのです。

 

 

1次の信念課題と2次の信念課題

ちなみに、このサリーとアン課題のように「自分が見ている世界とAさんが見ている世界は違う」ということを確認するテストを、専門的に1次の信念課題と言います。

1次があるということは2次もある。ということで、2次の信念課題は「『Aさんは、Bさんが〇〇すると考えている』と考えられるか」ということをテストします。自分の頭の中から離れて、Aさんの頭の中を想像して、AさんがBさんの頭の中を想像していると理解するという、より高度な能力を必要とする課題です。

 

自閉症スペクトラムの人は心の理論に難しさを感じている

今までの研究では、どうやら自閉症スペクトラムの人はこの「他人の考えていること・感じていること」を察する能力に困難を抱えていることが明らかになっています。

 

しかし、全くできないというわけではありません。実際のところ、自閉症スペクトラムの子どもにこのサリーとアンの課題を解かせると、ある一定の年齢を超えるとほとんどの子ができるようになります。

 

一つ言えることは、自閉症スペクトラムの人は、この心の理論というある種の「共感能力」の発達が、他の人よりも遅いということです。

 

 

 

もし、あなたが自閉症スペクトラムの子どもと接する機会があった場合、歩み寄るきっかけになるかもしれません。

 

 

「この子は、他の人の気持ちを理解するのが苦手なのかもしれない」

 

 

と考えることができたら、自然と「〇〇ちゃんは今、恥ずかしい気持ちなんだよ。今はそっとしておいてあげようね。」というように、わかりやすく伝えることができるようになると思います(実際の関わりでは絵カードを使うことが多いですが)。

 

 

「この子は空気が読めないんだ、めんどくさいな」と思わないで欲しいです。難しい状況もあるでしょうが、その人から見える世界に歩み寄る努力をしていただきたいです。

 

それをせずに文句ばっかり言っている人の方がよっぽど空気が読めないと、僕は思います。

 

自閉症スペクトラムの人が抱える問題

 

先ほど、自閉症の人も年齢が上がるにつれ、心の理論が発達していくと書きました。

 

しかし、実際のところ、日常生活で交わされる繊細な心のやりとりには、難しさを感じたままでいることが多いです。

 

自閉症スペクトラムの支援は、早期から行われるのが望ましいのですが、一部の人は問題を抱えながらも大人になるまで問題が起きないということがあります。

 

その多くは、知的な遅れを伴わない「高機能」の自閉症スペクトラムの人にいらっしゃいます(あまり高機能という言葉は好きではありませんが…)。なぜ、大人になるまで問題がでないのでしょうか?

 

 

心の理論に難しさを感じながらも、対人関係でうまいことやっているという人は、対人関係がうまくいくコミュニケーションを学習したり、心の理論を使わずにコミュニケーションを進めていることが多いのです。

 

 

それがそのまま問題とならず、個性を存分に発揮していければ良いのですが、最近の社会ではそれが難しいことが多いです。社会人になり、高いコミュニケーション能力が求められた時、今まではうまくいっていたことがうまくいかないという状況に出くわすことになります。

 

これが最近問題になっている「大人の発達障害」という問題の一つです。これによって、自閉症スペクトラムの人が社会からスポイルされて、生きづらさを抱えてしまうのです。

 

それを防ぐために、このような自閉症スペクトラムの人から見た世界がどのようになっているのか、知っておく必要があるのです。

「大人の発達障害」は、自閉症スペクトラムの人に根本的な問題があるわけではなく、高度に入り組んだ日本の人間社会が引き起こす弊害なのです。

 

最後にー私たちができること

自閉症スペクトラムの人への支援の第一歩は、その世界を知ることです。そして、歩み寄ることです。自分の常識や価値観を押し付けしまってはいけないのです。

 

人間誰だって、得意なこともあれば苦手なこともあります。自閉症スペクトラムの人の持つ個性を生かすには、その考え方の特徴を理解する必要があります。

 

 

この記事を読んだあなたが、多くの人の輝ける場所を作るための第一歩を踏み出せること望んでいます。

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