【自閉症スペクトラム障害】症状・原因・診断、支援に使える施設まで解説

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こんにちは!大学院で臨床心理学を勉強しながら、心理学やメンタルヘルスについてのブログを書いていますひぐらしです。

 

このブログでは専門的な知識がない人でもわかりやすいように、精神障害(心の病)や発達障害の知識をまとめています。今回は「自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)」についてイラスト付きでわかりやすく説明していきたいと思います。

 

自閉症の症状(精神障害のマニュアル|DSMの基準)

発達障害を含む精神障害にはDSMという診断のためのマニュアルがあります。それを参考にして、自閉症スペクトラム障害の特徴について簡単にまとめましょう。

 

A. 複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥があり(p27)

自閉症スペクトラムの主な症状はこのAと、次に書いているBであるとされています。

これは言葉の通りですね。人付き合いがうまくいかなかったり、トラブルになったりします。以下特徴的な行動についてリストにしてみました。

 

  • 知らない人でも距離が取れなくてベタベタとくっついてしまう
  • 話のキャッチボールができず、自分の好きな話をずっとしてしまう
  • 感情的なやりとりが苦手(自分の感情をうまく把握できない人もいます)
  • 非言語的なコミュニケーションが苦手
  • アイコンタクトが少ない
  • 人にあまり興味がない

 

などです。正直なところ、人によって自閉症の個性は違うので、これはあくまで一例です。

 

B. 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式(p27)

これはあまりイメージがつかない人もいるかもしれません。具体例をあげましょう。

 

  • ずーっと同じことをしている(例えば、繰り返し同じ動画を見ている、おもちゃを一列に並べているなど)
  • 同じルールにこだわる。変化が苦手。
  • 一つのものから、次のものへの切り替えが苦手
  • 一つのことに興味を注いでその道では博士並みの知識を持つ
  • 感覚の過敏。逆に無関心な場合も

 

個人的には、自閉症スペクトラムにはいい面もあると思うのですが、やはり、集団に入った時や大人になった時に、トラブルを起こしてしまう特徴があります。これを早期から訓練することで、困り感を減らしその人のやりたいことを支えていくことができます。

 

C. 症状は発達早期に存在(p27)

これは知的障害と一緒で、自閉症スペクトラムも脳のなにかしらの障害によるものとされています。そのため、幼少期から症状がで始めるのです。

 

D. 社会的、職業的、または他の重要な領域における現在の機能に臨床的に意味のある障害を引き起こしている(p27)

これも大切な点です。あくまで支援の対象になるのは本人の困り感です。本人が、集団の中であったり、仕事をしている中で苦痛を感じていたりする場合に支援の対象になります。

 

E. これらの障害は、知的能力障害または全般的発達遅延ではうまく説明されない(p27)

最後のこの点は、とても大切な点です。なぜなら、多くの人が勘違いして理解しているからです。

 

 

実は、自閉症スペクトラムと知的障害は無関係です。

 

 

自閉症スペクトラムの人が全て、知的に遅れているということはありません。発達障害という名前がついているからといって、全般的な発達が遅れているわけではありません。

 

自閉症スペクトラムで、さらに知的にも遅れている場合は、「自閉症スペクトラム障害」と「知的能力障害」の二つの診断がつくことになります。これは覚えておいてもいい豆知識ですね。

 

自閉症スペクトラムの原因

自閉症は、脳の働きが一般の人と違うと言われています。しかしながら、詳しいことはまだはっきりとはわかっておらず、仮説がいくつかあります。

 

心の理論仮説

「相手が何を考えているか、感じているか」を考えることができる力を心の理論と言います。自閉症スペクトラムの人は、その力の発達が遅れていると言われています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

自閉症スペクトラムの人から見た世界①ー心の理論編

2017.05.01

 

 

中枢性統合仮説

ばらばらの情報を1つにまとめることを、中枢性統合と言います。自閉症スペクトラムの人は、全体よりもある部分に着目する傾向にあると言われています。こちらも詳しくはこちらの記事をご覧ください。

自閉症スペクトラムの人から見た世界②ー中枢性統合理論編

2017.05.28

 

実行機能仮説

人は何か作業をするとき、ワーキングメモリという「机の上」に情報を保持します。このワーキングメモリがあることによって、電話番号を一瞬だけ覚えたり、頭の中で筆算ができたりします。自閉症スペクトラムを含む発達障害の人はこの作業が苦手だとされています。

自閉症スペクトラムの人から見た世界③ー実行機能編

2017.05.29

 

重症度の診断・用いられるテスト

自閉症 検査

自閉症スペクトラムの重症度には、三つのレベルがあります。

 

  • レベル1[支援を要する]
  • レベル2[十分な支援を要する]
  • レベル3[非常に十分な支援を要する]

 

これは、どれぐらいの支援が必要であったり、これから経験するだろう社会的な困難などを予測するのにとても大切な情報です。もし、自分が深く関係する人や、自分の子供が先ほどあげた特徴に当てはまる場合は、専門機関で検査を受けることをおすすめします。

 

その時に使われる主な検査をまとめておきました。中には今、即使えるものもあるのでご利用ください。

 

自閉症スペクトラムのテスト(検査)

自閉症 検査

上の図は『これからの発達障害のアセスメントー支援の第一歩となるために(黒田美保編)p6』を自閉症スペクトラム用に改変したものです。興味がある人は、ぜひ元の本もご覧ください。

 

 

この図にある、「スクリーニング」というのは、主に、自閉症スペクトラムかどうかを簡易的な方法で判断するためのテストという意味です。

 

1次スクリーニングはまだ障害があるとはわかっていない一般の人に対して行われるテストです。そのため、簡単に使えて、誰でも利用できることが大切になります。

 

2次スクリーニングは、本人の気づきであったり、医療機関に繋がった時に、自閉症のリスクを確認するためのテストです。その中には、自閉症の重さをある程度判別できるものもあります。

 

それではそれぞれのテストを細かく見ていきましょう。(興味がない人は読み飛ばしてください〜)

 

M-CHAT(1次スクリーニング)

M-CHATというテストはなんと無料でホームページからダウンロードできます。対象は1歳半から2歳ぐらいまでと短いですが、自分の子供に発達障害の傾向がある時に参考になると思います。

詳細は別の記事にまとめてあるので、もしも使うときのためにブックマークなどしておいていただければと思います。

子供の自閉症スペクトラムを無料でチェックできるテスト:M-CHAT

2017.06.05

 

AQ(2次スクリーニング)

Autism Spectrum Quotient(自閉症スペクトラム指数)を略して、AQ(えーきゅー)と呼びます。児童用(対象年齢|7〜15歳)成人用(対象年齢|16歳以上、ただし知的障害がない場合に限る)の二つがあります。

成人用は自分で回答するものですが、児童用は自分では回答できないので、親に回答してもらうことになっています。質問紙に書いてある内容に答えてもらう形です。

「社会的スキル」「注意の切り替え」「細部への注意」「コミュニケーション」「想像力」の5つの領域から成り立っていて、ある得点を超えると、自閉症の疑いが強くなります。その人の認知の特徴をテストすることができます。発達障害を専門にしているクリニックなどで受けることができます。(成人用が転がっていたので参考にしてみてください)

 

SCQ(2次スクリーニング)

Social Communication Questionnaire(対人コミュニケーション質問紙)の略で、SCQ(えすしーきゅー)です。先ほどのAQと同じく、親が回答する質問紙(アンケートのようなもの)です。「誕生から今まで」と「現在」の2つバージョンがあります。対象は4歳以上です。

 

「誕生から今まで」は、生まれてから現在までのことを尋ねるものです。自閉症スペクトラムかどうかを判別するのに向いています。

 

「現在」の方のバージョンは、過去3ヶ月間の症状について確認するものです。これは、現在の生活や困り感を把握できるので、支援計画を考えたりするのにも使える便利なものです。

これもクリニックや病院で受けたりすることがあります。SCQのサイト

 

PARS-TR(2次スクリーニング)

Pervasive Developmental Disorders Autism Spectrum Disorders Rating Scale – Text Revision(広汎性発達障害 自閉症スペクトラム障害評定尺度テキスト改訂版)を略して、PARS(ぱーす)です。対象年齢は3歳から成人まで、親へ質問をしていく面接形式のテストです。

幼児期、児童期、思春期・成人期の3つに分かれていて、面接はだいたい30分から1時間で終わるものとなっています。

PARSは親の質問を面接形式で丁寧にしていくので、時間がかかるという問題点がある一方で、他のテストに比べて正確というメリットがあります。これは、専門のクリニックでないとなかなか実施しないテストです。

 

CARS

Childhood Autism Rating Scale(小児自閉症評定尺度)の略で、CARS(かーず)と言います。初版に、もりもりと追加の検査が加わって、CARS2ができています。子供の動きを観察して、自閉症かどうかや症状の重さをテストします。

最初のCARSは2次スクリーニング用のテストだったのですが、CARS2は診断や重症度の判別に使うことができます。用途によって使い分けることができる便利な検査ですね。この検査も、慣れた人が実施するものなので、専門的な機関でしか受けることができません。

 

ADOS-2(診断・評価)

Autism Diagnostic Observation Schedule(自閉症診断観察尺度)の略で、ADOS(えいどす)です。先ほどのCARSと同じく、子供を実際に観察して、自閉症の診断や、自閉症の重症度の判別をします。

おもちゃなどの検査を用具を使って、その反応であったりを観察します。年齢ごとに検査は違っていて

 

  • モジュール1(まだ言葉を喋れない子〜1、2語レベルの31ヶ月以上の児)
  • モジュール2(動詞を含む3語以上をしゃべる〜うまくは喋れない子)
  • モジュール3(普通にしゃべれる子・だいたい中学生ぐらい)
  • モジュール4(普通にしゃべれる高校生ぐらい・成人)

 

の4つの中から適切なものを選びます。これも慣れている人がやらないとうまく検査できないので、専門の人がいる機関が受けれません。

 

ADI-R(診断・評価)

最後の検査は、親への面接です。検査時間が長く、90〜150分程度かかります。これも年齢によって、質問が違い、自閉症か非自閉症かを明らかにすることができます。2歳以上から使うことができます。

親に対する聞き取りを正確にできるので、先ほど説明したPARSという検査よりもさらに正確な情報から診断や支援計画を立てることができます。

 

その他:Vineland 適応行動尺度

知的障害の記事でも説明したのですが、その他の検査として有名なものに、Vineland(バインランド)適応行動尺度というものがあります。この検査は、0歳から92歳を対象に実施できるもので、その人が生活にどれぐらい適応できているかを、コミュニケーション領域・日常スキル領域・社会性領域・運動スキル領域に分けて測定できるものです。その人の支援を考えるあたってとても大切な検査になっています。

 

 

べらべらと説明してきたのですが、普通の人がこんな検査を覚える必要はありません

 

何が伝えたかったかというと、自閉症スペクトラムの重さを正確に測定し、支援計画を立てられる立派なテストがあるということです。

 

こうした検査があることを知っていない人は、投影法を自閉症の子にしたり、知能検査をしただけで満足してしまったりしています。そういった人が担当になったらこの人大丈夫かな?と少し疑った方が良いと思います。

 

自閉症スペクトラムの診断や支援はどこへ?

自閉症スペクトラム 相談

自閉症スペクトラム障害は診断を受け、早期に介入につなげることが大切です。そこで気になるのがいったいどこに行けば詳しい情報を手に入れられたり、診断を受けることができるのかですね。

知的障害の相談機関と重なる部分はありますが、役にたつ機関を説明します。

 

発達障害の支援に利用できる施設一覧

子ども家庭支援センター(子育て相談センター)

子供が「発達障害かも?」と思って、いきなりそうした関連の施設に行くのはなかなか気が引けます。そんな時に、子育ての相談を幅広く扱っている子ども家庭支援センター(通称こかせん)に足を運んでアドバイスをもらうのがいいでしょう。力になってくれると思います。

 

保健センター(保健所)

保健所や保健センターは一歳半検診や、三歳児検診をしていますよね?実はその時に、自閉症の疑いがないかも調べているのです。もし、そのタイミングでお子さんが、「疑い」ありということになったら、担当の保健師さんなどと話あって、情報を得るようにするととても役にたつと思います。

他にも、子供の発達が不安なときなども相談に乗ってくれると思うので足を運んでみると良いと思います。

 

児童相談所

児童相談所では、発達障害の相談も行っています。そこで必要があれば、検査も受けられるとのことです。児童相談所も自閉症スペクトラムの相談にとても役に立ちます。

 

発達障害者支援センター

これは、発達障害の支援に特化した施設なのですが、東京都には1つしかないなど、あまり使い勝手がいいものではありません。もし、近くにお住まいでより細かい情報を知りたかったり、成人で自分が発達障害かもと思った時に、お使いになるのが良いでしょう。

 

発達障害者(児)の支援で目指されること

知的障害者(児) 支援

自閉症スペクトラムの人はよく周りの人から勘違いされやすいです。例えば、集団にうまく溶け込めなかったり、空気が読めなかったりするのを、個人の性格のせいだと悪者扱いされるからです。その結果、嫌がらせをうけたりいじめにつながったりします。

 

残念ながら発達障害に関する理解はまだあまり浸透していません。周りの人の、嫌がらせなどが自閉症スペクトラムの人の自尊心を傷つけたり、悪い場合はうつ病やPTSDにつながる場合もあります。

 

そうならないためにも、早期に専門機関に相談し、継続的な支援を整えることが大切です。少しでもその役に立てるようにこの記事を書いてきました。

 

自閉症スペクトラムを含む発達障害の支援は

 

環境の調整と歩み寄り

 

この2つにあります。本人の可能性をつぶさないような継続した支援が必要なのです。

 

最後に

最後までお読みいただいてありがとうございました!これからもブログの記事をバリバリ書いていきたいと思うのでよろしくお願い致します。

 

発達障害について専門的な記事をいくつか書いているので、興味がある方はこちらの記事も見てみてください〜

 

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